「CyberGhost」 レビュー 2024年版

CyberGhostは、筆者がレビューするたびにアプリのデザインをリニューアルし、様々な機能を備えています。今年は、筆者が前回感じた問題が改良版で解決されているかどうかを確かめました。
また、運営元が変更されたことにより、CyberGhostの親会社と過去の不祥事について深刻な疑問が生じています。
本稿では、こちらについて詳述します。

CyberGhostの2024年版のレビューでは、デスクトップ版とモバイル版の両方でサービスをテストして、以下のことを確認しました。

• CyberGhostで各種ストリーミングサービス（Netflix、Amazonプライム、BBC iPlayerなど）に安全にアクセスできるか
• 動画のストリーミングに十分な速さが出るか
• CyberGhostのセキュリティはどれほど優れているのか
• 運営会社の背景はユーザーに不安材料となるか
• 同じ料金帯でより優れた選択肢はあるか

この多彩なサービスについて、他にも多くを考察しました。

詳細に入る前に、回線速度、ストリーミング機能、セキュリティなど、CyberGhostのパフォーマンスに関する主なデータの概要をご紹介しましょう。

CyberGhostの主要データ

* 平均速度は複数のグローバルローケーションで1日に複数回のスピードテストを実施した結果から算出しています。

最近、動画ストリームに安全にアクセスし、オープンWi-Fi接続を保護し、インターネットサービスプロバイダー（ISP）によるネットサーフィン状況とダウンロード監視を防止するためにCyberGhostを使用しました。

CyberGhostの概要

CyberGhostは、強力なオールラウンドなVPNですが、主に世界中の動画をストリーミングしたい人にお勧めします。高速でセキュリティが堅牢であるため、トレントにも適しており、アプリは誰でも簡単に使えます。

まず、市場で高い人気と質を誇るNordVPNおよびExpressVPNとCyberGhostを比較してみましょう。

CyberGhostの利点は数多くありますが、全ての人に合うわけではありません。その長所と短所をご覧ください。

CyberGhostのメリットとデメリット

CyberGhostのレビューで筆者が気に入った点と、そうでなかった点を以下にまとめました。

各ポイントについて詳しくは後述します。

速度：CyberGhostは高速か?

平均ダウンロード速度は、全てのロケーションと時間帯で295 Mbpsで。

北米、ヨーロッパ、アジアにあるCyberGhostのサーバーで、1日の様々な時間帯に速度テストを行いました。1Gbps接続で行なったので、ご自宅のインターネット速度によっては遅くなることもあります。地域ごとの結果は次のとおりです。

• 北米：449 Mbps
• ヨーロッパ：268 Mbps
• アジア：167 Mbps

VPN業界での流行にたがわず、CyberGhostは最近Wireguardプロトコルを取り入れました。OpenVPNなどの古いプロトコルより速く、セキュリティは同等に頑強です。しかし、Wireguardの使用中に特定のアプリは機能しません。

OpenVPNおよびIKEv2プロトコルから選択するか、CyberGhostに任せることができます。IKEv2は最速で接続を確立し、接続が途切れたりWi-Fiとモバイルデータを頻繁に切り替えたりするモバイルデバイスに最適です。「例外」機能を使用する場合は、OpenVPNが必要です。

アメリカの最寄りのサーバーを使用したところ、4K UHDの動画をストリーミングできました。最新バージョンのCyberGhostアプリでは、オンラインゲームをしたいユーザーのためにゲーム専用サーバーが追加されています。また、自分自身またはゲームサーバーに近いサーバーを選択していれば、大きな入力遅延もなく『ロケットリーグ』や『Brawlhalla』などのペースの速いオンラインゲームをプレイできました。接続は安定し、テスト中に切断されることはありませんでした。ただし、アプリのping時間の読み取り値はしばしば不具合があり、最大の9999ミリ秒を表示していました。

各国のサーバーは、ユーザーからの距離と現在のサーバー負荷と一緒に表示されます。これにより、予想されるレイテンシと帯域幅を把握できます。サーバーロケーションと、そのロケーション内の特定のサーバーを選択できます。

注：これらのテストは、実際のパフォーマンスの大まかな指標であり、確実なものではありません。インターネットは変動性が大きく、ランダム性という大きな要素が加わります。より高速な回線を使用しているユーザーは、速度の差が大きくなる可能性があります。

2022年時点で、CyberGhostはインドでの物理サーバー運用を終了しました。インドは、ユーザーの機密情報を少なくとも5年間記録および保存することを全てのVPNプロバイダーに義務付ける法律を2022年6月に施行しました。その結果、CyberGhostを含む多くのVPNが同国から撤退しました。それでも、CyberGhostならインドのIPアドレスを取得できます。アプリは代わりにインドの仮想IPを表示するようにしたため、インドのIPアドレスを取得できますが、実際のVPNサーバーは別の国にあることになります。

アプリ：CyberGhostに対応するデバイスは？

CyberGhostは、ほとんどの主要オペレーティングシステムで動作し、同時接続台数が多めであることを確認しました。ユーザーは、1つのプランで同時に7台までのデバイスを接続できます。アプリはこちらで利用可能です。

• Windows
• macOS
• Linux（コマンドライン）
• iOS
• Android
• Amazon Fire TV

無料のブラウザー拡張機能を提供していますが、ストリーミングには適しておらず、セキュリティも高くはなく、4ヶ所にしか接続できません。

ルーター用のアプリはありませんが、TomatoUSBなどのオープンソースのルーターファームウェアでクライアントを手動構成できました。

有料プランでは、90ヶ国以上7,300台を超えるサーバーにアクセスできます。

CyberGhostアプリは、最新バージョンで大幅リニューアルしています。いくつかのバグがありました。

• 時々、意図的にVPNを切断した後にキルスイッチが作動し、インターネットにアクセスできなくなった。
• 接続台数の制限に達すると、アプリから他の全てのデバイスを切断するように求められた。従ったところ、別のデバイスを接続しようとすると、同様の通知が表示された。Webサイトのダッシュボードでしかデバイスからリモートでログアウトできなかった。

全体を見れば、これらは将来のアップデートで簡単に修正できる小さな不具合でした。

CyberGhostのデザインは、最も初心者に優しいものとは言えませんが、慣れるのは数分で十分なはずです。

1つの欠点は、VPNを介したローカルネットワークトラフィックを許可するオプションがないことです。つまり、VPNに接続している間は、共有ファイルやプリンター、スマートホームデバイスにアクセスできません。他のVPNなら、LAN接続を有効または無効にするオプションがあります。

一部のユーザーにとって魅力的な機能の1つは、専用IPアドレスというオプションです。これは有料のアドオンですが、IP制限のあるネットワークへのアクセスなど、一部のユースケースでは便利です。専用IPアドレスとは、複数のユーザーによって共有され、頻繁に変化する標準の動的IPアドレスとは対照的に、契約するユーザーだけが使用して変化しないもののことです。CyberGhostは、専用IPアドレスにトークンベースのシステムを使用します。つまり、IPアドレス自体はユーザーのVPNアカウントに関連付けられていません。

ストリーミング、Netflix、Kodi

CyberGhostはNetflixに対応する？

対応します。

CyberGhostは、Netflixの国際的ロールアウトの後は鳴りを潜めていたものの、アメリカ版Netflixに安定して対応するようになりました。また、日本、フランス、ドイツ、イタリア、スウェーデン版のNetflixライブラリにも安全にアクセスできます。これらのライブラリは、アメリカ版にはないものも含め、番組のカタログが微妙に異なります。

こちらにNetflixに対応する他のVPNをまとめました。30ヶ国59種類のVPNを分析したものです。

ほとんどのVPNアプリは、接続できるサーバーの場所をリストにするだけですが、CyberGhostはやや異なります。自分のVPNの「用途」に応じてサーバーを選択できるのです。ロケーションのリストに加えて、トレントかストリーミングかを指定できます。ストリーミングを選択すると、最適化されたストリーミングチャネルでサーバーを検索できます。

他にも多数に対応します。いずれかを選択するだけで、適切なサーバーに接続できます。他のVPNではカスタマーサービスに問い合わせるか、対応するサーバーを当てずっぽうで選ぶ必要があるのに対し、この革新的なアプローチは非常に便利です。

複数のKodi用アドオンでCyberGhostをテストしたところ、全てにおいて問題なく成功しました。マウスやタッチスクリーンを使用していない場合、Fire TV StickとAndroid TV用のアプリは、リモコンとの相性が良好です。

CyberGhostは高速なので、1080pのHD画質でストリーミングでき、4K UHDでも大丈夫でしょう。

CyberGhostはトレントを許可している？

許可しています。

CyberGhostは、無制限のトレントを許可し、安全・高速なダウンロード用に最適化された多数のサーバーを運用しています。これらは、アプリで［For torrenting］（トレント用）セクションとラベル付けされています。

アプリ保護を使用すると、VPNが接続されているときのみインターネットへの接続を許可するアプリを指定できます。例えば、トレントする場合、トレントクライアントをこのリストに追加しておけば、VPNなしでは使用できないようにすることができます。トレントマネージャーを起動するたびに、CyberGhostが自動的に接続します。

デスクトップ版とモバイル版アプリの両方で利用できるキルスイッチは、ほとんどのVPNではiOSおよびAndroid版では用意されていないので稀少です。キルスイッチは、VPN接続が予期せず途切れた場合にデバイスをインターネットから切断し、暗号化されていないデータの漏洩を防ぎます。デスクトップ版ではキルスイッチを停止できないため、一部ユーザーには煩わしいことがあるかもしれません。

セキュリティ、プライバシー、ログ

多くのVPNは、優れたセキュリティを提供すると主張していながら、実際にはデータ漏洩を発生させたり、古い暗号化標準を使用していたりします。CyberGhostの主張が正しいものであるかどうかを確かめました。

CyberGhostは元々はドイツで開発されましたが、後に強制データ保持法がないルーマニアに拠点を移しました。これは、明示的な同意がある場合にのみ会社が個人データを保持できるため、プライバシーを求めるユーザーにとって朗報です。

CyberGhostは、ユーザーの行動、Webターゲット、通信を記録しません。一部の接続ログは保持しますが、ユーザー個人に紐付けるものはありません。

支払いと登録の詳細はVPNサービスに関連付けられておらず、ユーザーには匿名のIDが与えられます。CyberGhostのWebサイトは訪問者に関して多くの情報を収集しますが、いずれもVPNサービスの利用とは結び付くものではありません。

アプリは、分析のために非個人データを収集し、Mixpanelに送信します。これには接続の試行などが含まれますが、IPアドレス、接続タイムスタンプ、ユーザーID、VPNサーバーは含まれません。

現在のCyberGhostは既定でWireguardプロトコルを使用しますが、アプリではOpenVPNとIKEv2も利用できます。VPN暗号化の詳細は次のとおりです。

CyberGhostは既定で独自のプライベートDNSサーバーを使用しますが、設定で変更できます。アプリは、DNS、IPv6、WebRTCの漏洩をすべて防止します。CyberGhostサーバーに接続するとIPv6は無効になるため、IPv6トラフィックが漏洩することはありません。

未知のWi-Fiネットワークで自動的に保護されるようにCyberGhostを設定できるので、旅行の際に便利です。トレントのセクションで述べたように、キルスイッチとアプリ保護は便利なセキュリティ機能です。

(例外）機能は、他のいくつかのVPNに見られるスプリットトンネルと類似しています。ここでは、接続中でもVPNを使用しないWebサイトを指定できます。VPNを経由してアクセスしたくない特定のWebサイトがある場合、メールサーバーがCyberGhostのスパム防止機能によってブロックされている場合などは、それらをリストに追加するとよいでしょう。例外を利用するには、OpenVPNプロトコルを使用している必要があります。

ほとんどの商用VPNと同様に、CyberGhostは共有IPアドレスを使用します。つまり、サーバーに接続すると、そのサーバーのIPアドレスを他のVPNユーザーと同時に共有することになります。これにより、接続の匿名性が一層強化され、オンラインアクティビティを1人の人物や1台のデバイスにまで遡ることがより困難になります。

［Privacy］（プライバシー）設定タブでは、広告やトラッカー、マルウェアに使用されるDNSドメインをブロックしたり、DNS漏洩を防止したり、「プライバシーとセキュリティを保護するために」オフにできないキルスイッチトグルを確認したりできます。

もう1つの優れた機能は、NoSpyサーバーオプションです。NoSpyサーバーは、CyberGhostが所有するデータセンターに収容された、セキュリティとプライバシーを拡充したサーバーです。

CyberGhostの運営は懸念事項となるか？

数年前、CyberGhostは、データ保持法の対象である英国に登録されているイスラエル系企業のCrossrider（現在のKape）に買収されました。

Crossriderは、感染したソフトウェアバンドルや偽のAdobe Flashアップデートを介してアドウェアを配布する企業でした。

プライバシーを重視する企業として理想とはかけ離れています。

Crossriderは、その悪評を払拭するために、社名をKapeに変更しました。CyberGhostは、ルーマニアに本拠を置く独立した企業として運営を続けることを主張しているため、ルーマニアの法律のみが適用されます。ただし、運営元の変更に抵抗を覚えるユーザーもいるかもしれません。

CyberGhostは中国で使える？

中国へ渡航する方はご注意ください。

CyberGhostを利用すれば、中国のグレートファイアウォールを回避できるかもしれませんが、中国を訪れるか在住する人にはお勧めしません。残念ながら、CyberGhostは中国やアラブ首長国連邦などの国における検閲回避に苦戦しています。

中国に適したVPNをお探しなら、中国に最適なVPNの記事をご覧ください。

CyberGhostのカスタマーサービスは？

カスタマーサポートは、英語、ドイツ語、フランス語に対応しています。ライブチャットは、CyberGhostのWebサイトで毎日24時間利用できます。ドイツ語とフランス語のサポートは、ルーマニア時間で毎日9時から18時まで営業しています。

ライブチャットで質問してから、数分以内に担当者と繋がりました。それから、ヘルプリクエストに対して約10時間後に返信を受け取りました。プライバシーが心配な場合は、アプリに組み込まれているサポートチケットシステムから問い合わせ、トラッカーの多いWebサイトを避けてください。

Webサイトには、一般的な問題や各機能の使用方法を網羅する大規模なFAQとブログが用意されています。

CyberGhostの料金体系

予算が限られている場合もご安心ください。

CyberGhostは、特に1年以上契約する場合は、手頃なプロバイダーです。一度に最大7台のデバイスを接続できるため、家族や同居人のいる方にはお得な選択になります。最安価のVPNというわけではありませんが、料金は平均以下で、45日間の返金保証があり、品質は良くコストパフォーマンスは高くなっています。

複数の料金プランから選択できます。

• 月額サブスクリプション：月額$12.99
• 6ヶ月間サブスクリプション：月額$6.99（6ヶ月ごとに$41.94が請求）
• 2年間サブスクリプション（+4ヶ月間無料）：月額$2.03（2年ごとに$56.94が請求）

CyberGhostのクーポン

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CyberGhostは買い？

CyberGhostを数週間試してみた結論として、お勧めできるでしょうか。

お勧めします。

訳ありの経歴に目を瞑ることができれば、これ以上の低料金でこれに勝る速度、セキュリティ、ストリーミングのオプションを見つけることはできないでしょう。これより高額のVPNプロバイダーであっても、ほとんどがCyberGhostとは競合できないレベルです。海外旅行中にリージョンロックされたコンテンツにアクセスしたり、匿名でトレントしたりしたい人には強くお勧めします。VPNを初めて利用する場合でも、長年VPNを利用している場合でも、CyberGhostは信頼性が高くバランスの取れたサービスです。

唯一の例外は、アラブ首長国連邦や中国など、VPNを積極的に制限している国に住んでいるか、渡航する場合です。

CyberGhostの競合

CyberGhostはお勧めですが、検討する価値のあるVPNはそれだけではありません。

NordVPNはお得な料金で、速度ではCyberGhostと比肩します。強力な暗号化、ノーログポリシー、幅広いストリーミングサービスに安全にアクセスする能力があります。中国でも機能し、各種デバイスで動作します。

ExpressVPNは、比較的高料金ながら、中国やアラブ首長国連邦など、当局が既知のVPNサーバーへの接続を積極的にブロックしている国でさらに力を発揮します。高速、堅牢なセキュリティ、非常に使いやすいアプリが特徴です。多くのデバイスに対応し、毎日24時間体制でライブサポートします。

サイバーゴーストに関するよくある質問